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2015-01-21
こんばんは。
昨年から気になって気になって、そのくせ観に行けなかった映画『おやじ男優Z』を、やーーっと観てきました。
場所はシアターPOO。数日前に私が縛られたりなんやかんやが行われた同じ場所です。これだけでも十分、私にとってはうま味成分だったのですが、それだけじゃない。上映前に監督の水島ゆたかさん、出演のなかみつせいじさん、司会の松本格子戸さん。こちらの三人が寸劇をしたのですが始まる前から会場に笑い声が溢れていました。映画を観る前に、こんな笑を貰えるなんて、そこでまた私のうま味成分がアップしちゃいました。
そうして格子戸さんの口上に移ってから上映された『おやじ男優Z』。
泣きました。笑いました。悲しくなりました。喜びました。安心しました。一つの作品で、ここまで感情を上下左右に揺さぶられるのは、なかなか無い。もう若くも無く、おやじというカテゴリーに属する人間が人生の折り返しを迎えてからの環境変化は、それはそれは並大抵の精神じゃやっていけないでしょうね。下層で生きる人間が、日々を悩み考え苦しみ笑う。その中で喜びを見出す。だけど、やはり見たくもない現実が目の前にある。見方を変えれば、この作品って風俗嬢の私にはかなきつい。だって、未来の私がそうなっている可能性は無くもないんですから。有り得なくもない現実をまざまざと見せてくれた、この『おやじ男優Z』。
バックグラウンドで絶望的な暗さを持っているのに、フォアグラウンドは底無しに明るい。エロくてシモネタが満載というだけでなく、人物たちがとにかく明るい。前を見ている。苦しみながらも自分の今と立ち位置をしっかりと把握している。だから、微かな光に希望の動線を探して生きている。シリアスとコメディが絶妙なバランスで混在する映画だった。
とにかく現実。息苦しくなるくらいの現実がそこにあったの。おやじ三人の家に若い巨乳美少女が住み着くなんて、男の妄想を映画の中で現実にしちゃった時点で本来はフィクションなんだけど、この映画は現実しかなかった。
私の個人的な主観で見ちゃうと、ラストのシーンで考えさせられるものがあった。その選択に間違いはないと強く言いたくなった。そうしなきゃいけないんだよって言いたくなった。重なる部分が幾つかあったからなんだけどね。生きる、について考えさせられる映画がAVの男優で汁だなんて、なかなか無い。海外の作品でポルノ男優がメインのものがあったけど、おやじ男優Zはそれとは一線を画していた。哀愁漂うおじさんの今がそこにあった。切ないのに面白いって素晴らしい。
もっと広まって欲しい。もっともっと見て欲しい。なんだか難しい決まりがあるようだけど、そんな規約を守っていたらこうした良作が広まらない。人に観られなきゃ伝えられない。人の言葉が人を動かすのに勿体ないな。だんだんと衰退していく性産業なのだから、そこはもっとフラットになればいいのに…と私は思うのです。
上映後のトークイベントも良かった。俳優方の気さくな雰囲気がとても親しみがあって、お客さんと俳優の距離が近かったの。私の話を聞いてくれて、お話をしてくれた。知らなかった事をたくさん知れた。嬉しかったな。お寿司とお菓子も美味しかったぁ(笑)
心から笑って涙したいなら、この映画は絶対に観るべき。後悔をさせない映画ってそう多くはないもの。